NPO法人どんまい

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2022年06月14日

「おふくろの味」

 

みなさんにはおふくろの味ってありますか?

レストランで食べるどんな食事よりも母親の作るハンバーグが好き、と感じることはないでしょうか?

 

利用者さんに「伝説の家政婦、志麻さんって知ってますか?」と教えてもらったのがきっかけで、最近料理を作っています。志麻さんはフレンチの料理人でしたが、フランスの家庭料理のような食事を作りたくて家事代行の仕事を始め、予約が取れないほどの人気となり「予約が取れない伝説の家政婦」と呼ばれています。

 

料理上手な家政婦さんはたくさんいるはずなのに、なぜ志麻さんはそんなに人気があるのでしょうか?それは、志麻さんが家政婦として訪れる家庭の家族構成や好み、体調まで考えて料理を作り、さらには「家族」になったつもりで料理を作っている、という考えが根底にあるからです。

 

2012年に「やさしさの味」という心理学の研究が発表されました。大学生に2種類のメッセージ付お菓子を配るという実験でした。「どれでもいいと思って選びました。」というメッセージをつけたグループと、「あなたのためを思って選びました。喜んでもらえると嬉しいです。」というメッセージをつけた2グループに分けました。お菓子は全く同じものだったにも関わらず、結果は「あなたのためを思って選びました。」というメッセージを付けられたグループの方がよりおいしく感じ、さらに甘さも感じるという結果になりました。つまり、やさしい気持ちを感じることで、味覚そのものが変化したということが分かりました。他にも同じ電気ショックでも「悪意」が感じられるとより痛く感じるなどの研究例が報告されています。これは「相手の意図を知ると、私たちの体験が変わる」ということを意味しています。

これが、おふくろの味がおいしい理由の一つです。

 

同じ行為でも「どんな気持ちからその行為をしたか」、ということで結果に違いが出るようです。さらに、相手を喜ばせたいときには「喜ばせたい」という自分の気持ちも同時に伝えると効果的なようです。

 

料理だけでなく、他者との交流にも活かせそうですね。